幾千億年の孤独


百年の孤独」と言えば、ガルシア・マルケスの著名な小説だが、手塚治虫の「火の鳥」にこんな話がある。
人類滅亡後の世界。主人公が火の鳥によって「人類再生」というミッションを授けられ、不老不死の体になる。
いくら死ぬことを望んでも、死ぬことができない。叫んでも誰も答えてくれない。
延々とたった1人で生き続ける、絶対孤独。
その深い孤独の中で主人公は、新しい人類の誕生を待ちわびる。

しかし、幾度かの命の再生と失敗の繰り返しの果てに、新たな「地上の主」になったのはヒトではなくナメクジだった。
ナメクジは進化し、高度な文明を築くが、人間と同じ過ちを犯し、殺戮の果てに滅びていく。

そんな話である。


この話を思い出すたびに、誰もいない地球で、自分が何千億年も1人で生きていく底知れぬ孤独を想像して恐ろしくなる。
何千億回もたった1人で朝を向かえ、何千億回も1人で沈む太陽と満天の星を見続ける。



それは果たしてどんな気持ちだろうか。