仮の世の海に、真紅の月が沈んでいく。 打ち寄せる波の音が、その赤に被さる。 足元の小さな貝殻が、その波の音を抱きかかえている。空にある幾千の声を数えて、宙にある言葉を数える。 胸にある幾千の記憶を数えて、心にある表情を数える。命を生み出したの…
夢を見た。 君は誰かと携帯電話で話をしている。 僕はその横で長い、長い、夢を見ている。 その夢はあまりに長いので、当の僕にも、それが夢なのか、それとも現実なのか、もはやわからないのだ。 世界は。 世界は。大きな、大きな、からくり時計を回している…
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