アメリカ娘と虫の声
それは静かな夜だった。
焚き火を囲んで集まったメンバーは、虫の声を聞きながら、黙って焚き火を見つめていた。
長い間、誰も話そうとしないが、それでも心地よい充足感が、そこには流れていた。
と、目の前の宙に誰かがテレポートしてきた。
アメリカ娘だ。
アメリカ娘は、やってくるなり
「ちょっと、このnoisyな虫の声、何とかしてくれない?(意訳)」
「私、頭痛くなるのよ、こういう「音」を聞いていると!!何とかしてよ!(意訳)」
と、まくしたてた。みんなあっけにとられた。
勢いに押された「世話役」は、あわてて、虫の声を消した。
ところが、虫の声が消えたときには、もうアメリカ娘はいなかった。
またどこかへテレポートしていったのだ。
「何だよ!」
世話役がつぶやいた。そしてまた虫の声を復活させ、「静かな」夜がもどってきた。
ここはメタバース。右脳の国だ。
アメリカ娘にはわかるまい。