今夜、NHKアーカイブ「NHK特集 手塚治虫 創作の秘密」を見た

番組は1986年にオンエアされたものだという。そういえば広島のアニメフェスティバルの企画は一部、書かせてもらった。つまり時代はちょうどあのころなのだ。

手塚治虫と時刻表(BigBang)

分を争う締め切りに追われながら、いつもニコニコして笑顔を崩さず、先生は、よくもあんなにいろいろな場所に来ていただいたものだと思う。そういえば先生の泊まるホテルの部屋の廊下には、いつもファンか編集者のどちらかが張り付いていた。そんな中でも嫌がらずに、気遣う僕らをよそに、1枚1枚サインをしてくださった。


番組で描かれた、手塚治虫先生の壮絶な創作の現場。何度も何度もそばで見ているし、よくわかっていたつもりではあっても、それでもこうして映像に触れると、何度も何度も頭が下がる。番組にも出ていた「おんぼろフィルム」を持って、先生は北海道の奥にまで来ていただいたのだ。ほんのリゾートホテルで開かれる小さな個展のために。その夜も徹夜で筆を走らせておられた。


胸が詰まる思いである。

この番組から3年後・1989年に先生は亡くなっている。圧倒的な人の量に気押されて、ご葬儀にも伺わなかった。

僕は、一体どこの誰にお願い事をしていたのか、その本当の重さがわからなかったのだなあ。