中田の引退と呪縛


主要各紙がトップ扱いなので、ちょっと驚いた。そんなに騒ぐことか知らん。

中田を評価する人からは、反論もありそうだけれど、僕はここのところの中田と他のメンバーの関係とか見ていて、思い切った早目の引退というのは、何だかちょっとほっとしたというか、かえって(こういう言い方は語弊がありそうだけれど)日本サッカーのために良かったのではないかと思った。

ことほどさように、最近中田を巡る話といえば、常に他のチームメイトとの関係を危惧する話ばかりであったのであり、そういう意味で同世代の宮本などは、常に中田のチーム内での、ヒューマンなポジションにばかり気を配ることを強いられていて、相当な精神的負担がかかっていたように思えた。

そこそこの年齢になれば、サッカーでもビジネスでもここは同じだと思うのだけれど、我を殺して全体を見ることが要求される。で、たまにこうした面が未発達で、いつまでたってもセルフが強すぎて、年下の世代にまで精神的負担をかけ続ける人というのがいる。こういう人は、もちろん多くの場合極めて優秀なんだけれど、組織運営上は、ぱっと切られたりする。

中田が日本サッカーに果たした貢献の大きさを、過小に見積もる気はないけれど、常にチームとのヒューマンなバランスばかりが話題になっていた中田の状態というのは、もはやいい状態であったとはいい難い。若いメンバーにも、いい意味だけではないプレッシャーをかけていたと思うし。

まあ、このへんは中田がどうとかではなく、そこに何がしかの普遍を僕が見ようとしてしまっているのかもしれないが、フィールドでのプレイよりも話がどうしてもそっちに行ってしまうのは健全なことではない。


中田に頼らない、中田に支配されない、中田のせいにしない、新しい日本サッカーに期待する。