辞める?辞めない?「オーマイニュース、鳥越編集長辞任」のニュースを私的に解読する


昨夜の衝撃的なJanJanの「スクープ」、そして夜半になってからのオーマイニュース編集部の反論、と立て続きに、またもオーマイニュースが沸騰したわけであるが、「1月11日当日中に記事のすみやかな削除および同サイトへの謝罪文の掲載」と期限を切られたにも関わらず、JanJanでは記事に関して何の訂正も行っていない。双方の編集部がその後、沈黙しているので、事情がはっきりしないのだが、ここから先は私の個人的推理というか詮索。


JanJanの記事はこう書く。

鳥越氏に聞いたところ、“事実上の解任”という噂については「違う」ときっぱり否定した。編集長辞任の理由は「おもに体調による。ガンの手術のあとで、あまり無理しない方がよいと医者から言われており、私の方から(辞任の)申し入れをした。辞めるのは13日だが、実は本日(11日)から検査入院している」と語った。


また、それに対してのオーマイニュース編集部の反応は

 一方、オーマイニュース編集部にコメントを求めたところ、なんと「鳥越氏が編集長を辞任するという事実は今のところまったくない」という。鳥越氏本人より辞任する旨を聞いたと伝えると「会社としてはそれ以上は答えられない。どこからそうした情報を得たのかわからないが、なぜそういうことになっているのか困惑している」と話した。

とされている。

さらにその後、オーマイニュース編集部の、全面否定記事と、JanJanへの削除・謝罪要求となるのだが、JanJanが鳥越氏に取材もせずにこの記事を書いた、あるいは辞任を偽造したとまで考えるのは無理がある。しかしオーマイ側の否定も、非常に強いトーンである。
ここから推測される、もっとも「ありがちな」観測は、


鳥越氏が自分の意志で13日付で編集長を辞任したいという申し入れを(経営上層部に)行ったが慰留され、正式に受理されていないので、編集部員には伝えられていない。編集部は鳥越氏本人に確認せず、自社の上層部の言い分をそのまま記事にした。



という可能性である。そのため、オーマイニュース編集部現場では、JanJanの取材を受けて、初めてその事実を知り、否定。さらに上層部に問い合わせを入れたが、上層部では慰留の最中なので「そういった事実はない」と回答し、それがそのままオーマイニュースの全面否定記事になった可能性があると思う。よく読めば、編集長が辞任する事実はないとは書いているが、その編集長に辞任の意志がないとまでは反論していない。
つまり、今後本当に鳥越氏が13日付で辞任できるかどうかとは別として、「鳥越氏が辞意を伝えた」のは事実、ただし慰留されている、あるいは辞意が保留されているので「鳥越氏の辞任という事実はない」というオーマイ側の記事も、嘘ではないということになる。やれやれ。

ここで問題になるとすれば、まだ正式に辞職を受理されていない(とすれば)鳥越氏がなぜJanJanに、あるいはオーマイニュース編集部に伝えるよりも先に、リークしてしまったのかということである。通常であれば後任の編集長が決まる以前に、外部メディアに先に辞職をリークするとは考えられず、鳥越氏の病状が相当に良くないのか、あるいは編集部との間で相当の相互不信がある可能性である。


今日にもいずれかのメディアから追情報が発信されるかもしれないが、オーマイの経営陣が認めようと認めなかろうと、鳥越氏の側がここまで明確に「辞意を伝えた」と外部にリークした(と思われる)以上、これ以上の続投は難しいだろうと思われる。

そして、ここでもオーマイニュースの編集部の「早計」は宜しくない。会社経営側に確認して、鳥越氏本人のコメントをとらずに反論掲載した可能性があるからである。(もしも本人に確認しているならそう書くはず)あるいは検査入院の最中、昨夜の面会が出来なかったのかもしれないが、仮に鳥越氏が、再度慰留に心が傾いていたとしても、報道機関として、自社の編集長辞任という他社の「スクープ」への対応も適切にできないなら、辞めるべきは鳥越氏1人ではないかもしれない。



もしも私の推論通りであるとすれば、実にオーマイニュースの病は深いとしか言いようがない。



※もちろんこれは憶測である。正しい事実関係が確認されたら加筆訂正を行おうと思う。


【追記 1/13】
1/12夜、鳥越編集長自らのコメントが、オーマイニュースの全面否定記事に加筆された。

以前から、「後任を探しておいてください」という依頼はしてきました。今年に入って、その候補となる人を推薦しましたが、しかし報道されているように「13日に辞任する」あるいは「解任される」ということについては、電話をかけてきた記者から初めて聞いた話ですし、そんな予定は一切ありません。もちろん、推薦した人物の名前を電話取材で明かしてもいません。

として、辞任の意向をJanJanの記者に伝えた事実はないとしている。またJanJan編集部では、取材した増田記者がすでに帰社しており、今夜はコメントできない、としている。