海底の家
馴染みのカフェに行くと、巨大なプリンがある。何だこれはと思ってぷよぷよ動かすと、これが作り物ではない。人である。
いや、アバターである。やめてくれーと逃げる。へー面白い、などと居合わせた女性客と、プリンに体を沈ませる。おー混プリンだ、なんて言って。あほか。
ひとしきりプリンと遊んでいたら、その彼女が自分の家に来いという。残念ながら居合わせた客数人と一緒だが、押しかける。
プリンもついてきた。
南の島。彼女の家は海沿いであった。夕日が美しい。
ちょっと立っていてくれというので、ぼっと立っていたら床がたちまち海の中へと沈んでいった。熱帯の魚たちが寄ってくる。ほーすごいと歓声があがる。と思って上を見上げたら、さっきまで立っていた床が上のほうへ遠ざかっていく。へー、サンダーバードみたいだ・・という言葉を飲み込む。巨大で美しい魚が寄ってくる。
おい、プリン。魚に食われるぞ、などと言うと、またひーと逃げる。その様子がなんともおかしい。
彼女に暇を告げて、また別のカフェに行く。この間、紙飛行機を作っていた子が、完成したから見てくれという。いいよと言うと、砂浜に行って、紙飛行機に乗ってふわりと浮かび上がる。その姿は夕日に浮かぶサーファーのようだ。
下から見るとかなりカッコいいよ、と言ってあげる。嬉しそうだったが、思えばこちらも飛べるのだ。
後ろからずんずんと空を飛んでいくと、遠くで海猫が鳴いているのが聞こえた。