夏の夜の蝉


優雅に那須で静養中・・では全くなくて、昨日から福島に滞在中。涼しいはずが、東京と暑さがほとんど変わらず期待はずれ。離れていた犬と再会して、夜の街を散歩させる。日本中のほとんどの地方都市でそうであるように、商店街は、全ての生気が抜け切ったように静まり返っている。


歩く人も少なく、闇が深い路地に酔客が1人2人ふらふらと漂っているだけ。けたたましい羽音と異音に道の暗がりを見ると、アブラ蝉が1匹弱って、道に落ちていた。犬が恐る恐る覗き込む。
姪が蝉を見たことが無いと言っていたということを聞き、家まで持ち帰る。すでに寿命が近いのか、手でそっと握ってもほとんど動かなかったが、怖がって後ずさりする姪の前に蝉を差し出すと、微かに手足を動かした。その後蝉を家の玄関の前で放した。


自由になった蝉は辛うじて夜の空へ飛んでいったが、しばらく飛べばまた地面に落ちるだろう。
そういえば蝉の地上での寿命は1週間程度だったと、蝉が消えてから思い出した。


明日東京に帰る。